今日も風呂後トイレに行った

※実際はシャワーばかり浴びるし、身になる話は何もない

非ンスタグラマーが鎌倉でカリンバ奏者と遭遇した話

叶姉妹がインスタグラムを始めたというのでフォローするべくインスタグラムを始めた。叶姉妹が投稿する写真の華やかさとそれほんとに画像に関係あるのか? と聞きたくなるタグ付けのバランス感がたまらず結構見てしまう(のちにインスタグラムのタグは結構適当につけるものらしいと肌で感じるようになる)。ただ延々叶姉妹のゴージャスな肉体ばかり出てくるタイムラインというのもなんだかむせかえってしまうので、自分も何か投稿したい。いわゆるインスタグラマーなるものを体験してみたい。でも手持ちの画像はペアーズで見つけたおもしろプロフィールやツイッターのカップルアカウントのおもしろツイートのスクショしかないし、たまにネイルの写真があっても自分にとっての鮮度がないしで鎌倉へ行こうと思った。

鎌倉といえばほとんどの人が小町通を食べ歩き鶴岡八幡宮を参拝して江ノ電使って長谷寺へ、と言うだろう。縁あってこれまでに何度か鎌倉へ行っているが、やはり小町通→鶴岡八幡宮の流れは誰が相手でも必ずやった。おかげで今年はすでに3度くらい参拝している。そのくせ鶴岡八幡宮に誰が奉られているのかなど歴史的背景はまったくわからない。距離的に決して遠いわけではない鎌倉という地に対して完全におのぼりさんとなった自分がいるのがわかる。物理的距離と心的距離が比例しない。鎌倉を観光名所としてしか見ていない。まったく情けない話である、たとえおさななじみの女の子がアイドルになってしまってもその子が自分のおさななじみであるという事実は何も変わらないのに。急に思い出した神のみぞ知る世界は12巻くらいで読み止まっている。図書室のあたりで一瞬バトル漫画に行きかけていた気がするのでその後を心配しているのだが、無事に終わっただろうか。

さてそこでいつもなら行かない、「私の知らない鎌倉」を発掘しようと思った。「私の知らない鎌倉」というのはもちろんインスタグラムでつけようと思った文章タグである。36番煎じくらいならいいな。

小町の反対の改札を出てすぐ見つけた交差点をぐっと右に行く。改札の名前がわかってないのは少し心的距離が縮まったように感じる。とにかく右にがんばる。がんばりまくったら5部屋全部が何かの店になっているアパートを見つけた。今小路荘という。1階に地域活動センターや案内所っぽいのがあるのは薄ぼんやりわかるんだけど2階の服屋のとなりが占いなのはなぜかちょっと怖い。アパート前にある掲示板に「寺子屋生徒募集」と書かれているのも物々しい。服屋は入ってみたら怖くなかったけどお店のお姉さんに「あの、どうしてここに来たんですか?」と聞かれ、反射的に入らない方がよかったかなと思う。根が暗いのでこの手の質問はすべて来てほしくなかったものと解釈する。解釈はするがせっかくなのでお姉さんの話を聞くと他のお客さんもおっかなびっくり入ってくるようで「入ったら必ずなにか買わないといけないんじゃないかとか、ものすごく高いんじゃないかって心配される方が多いです」とのこと。よくてツボを買わされるのかなと思って入ったことは黙っておく。灰汁という名前のそこは、モノトーン基調でゆったり感のある服が売りと見た。

ここまで書いて結構疲れてしまった。電車で立ちながらちまちま打ち込んでいるのだが浅履きの靴下が土踏まずのところで丸まってしまって非常につらい。局地的に血流が悪い。靴下がなければ靴なんか生まれなかったのではないか。

鎌倉へ戻り引き続き右へがんばる。水曜土曜以外休業だけど開いていれば買い食いできる豆腐屋とか声を張りまくる人力車のお兄さんを見て私が鎌倉に住んでいたら事件を起こしていたかもとかいろいろはしょって寿福寺へたどり着く。北条政子がどうとか、日本で初めておやつかお茶かなにか忘れたけどなにかを扱う宗教を広めたそうで、この宗教がなかったらおやつかお茶かなにか忘れたけどそれが現代にもなかったんだなあと思うとありがたい気持ちになった。

電車で座れたし、上の説明があんまりなので調べた。北条政子臨済宗に属していた栄西を招いて建てたお寺で、栄西その人が日本へお茶を飲む習慣をはやらせてくれたらしい。今「にほんへ」と打ったら「日本へそ公園」がサジェストされて俄然興味がわいた。別日に銀座で「へそ展」なるちらしを見て、いろいろな生き物のへそが展示されてるのかと浮き足ちらしを読んだらそういうへそではない講演会らしく、残念。

寿福寺には墓地がある。北条政子源頼朝や、他にもいろいろな方が眠っている。そもそも源頼朝なんか鎌倉のいたるとこに眠っていて、その頒布の広さたるや引っ越し大好きおじさんこと志賀直哉に引けをとらない。文学館へ行って志賀直哉の名前を見ないことはない、読んだことないけど、と思いつつ墓地へゆく。妙に壁をえぐってその中にお墓を建てている方が多く、不謹慎覚悟でいうがちょっと秘密基地っぽくてかっこいい。ポケモンのルビーサファイアで秘密基地をつくれたけどああいう感じ。墓地へのあこがれが少しわく。秘密墓地を堪能して寿福寺の入り口へ戻る道すがら、どこからともなく木とも金とも言い難い音が聞こえてきて、どこかの家のテレビかなと思っていたら前方からカリンバを鳴らす中年男性が来る。京都のすき家がシックなように、一方原宿にはラジカセで延々GReeeeNを流すサイケな色味の中年女性がいるように、ところ変われば鳴らすものも違うらしく、よく晴れた明るい樹木のなかにそのカリンバが妙に合う。合うのだが、すれ違いざま少しだけ見ようと思っていたら向こうもこちらをうかがうのでおとなしく端を歩いて寿福寺を出た。カリンバはヘアピンなどでつくれるらしいのでそのうち遊んでみたいところ。父の部屋にあった気もする。
それからはとくになにか遭遇することもなく平穏であった。最終的に小町通に迷いこんでしまい、チョコレートのコロッケと鎌倉山ラスクなるものを買って帰った。帰ってから1週間くらい経つがインスタグラムには鎌倉の写真をただの1枚もアップしていない。私の知らない鎌倉とかいうタグはまだ35番煎じでとどまっていることだろう。